計算の考え方
この診断が出す金額は、推測ではなく決まった計算式によるものです。 数字を信じてよいかを判断していただくため、使っている式と前提をすべて公開します。
元にしている指標
- ・経済産業省/IPA「DX推進指標」の成熟度レベル(0〜5の6段階)
- ・中小企業庁「みらデジ経営チェック」の評価領域の考え方
- ・厚生労働省 賃金構造基本統計調査にもとづく産業別の賃金水準
社員1時間あたりのコスト
基本給だけでなく、社会保険料の会社負担分・各種手当・福利厚生費を含んだ「実質の時間単価」を使います。 一般に月給換算の1.2〜1.5倍になります。業種ごとの適用値は次のとおりです。
| 業種 | 時間単価 |
|---|---|
| 建設・工事・設備 | 3,500 円 |
| 製造・加工 | 3,200 円 |
| 卸売・小売 | 2,900 円 |
| 運輸・倉庫・物流 | 3,000 円 |
| 医療・介護・福祉 | 3,100 円 |
| 飲食・宿泊 | 2,600 円 |
| 士業・専門サービス(会計・法務・設計など) | 6,000 円 |
| 情報・通信・IT | 4,200 円 |
| その他サービス業 | 3,000 円 |
| 上記以外 | 3,000 円 |
損失項目ごとの計算式
紙とハンコ
紙の比率 × 0.5時間 × 事務担当人数 × 22日 × 12か月 × ハンコ係数 × 時間単価
印刷・押印・封入・郵送・ファイリング・保管・廃棄までを1人1日30分と置いています。削減率60%。
二重入力・転記
1日の二重入力時間 × 該当人数(全社員の20%・最低1名) × 22日 × 12か月 × 時間単価
システム間を自動でつなげば大半が消えるため、削減率85%。
Excelの維持
管理表の数 × 1.5時間/月 × 12か月 × 属人化係数 × 時間単価
1ファイルあたり月1.5時間の手直し・版管理・引き継ぎを見込みます。削減率70%。
ミスとやり直し
(月間ミス件数 × 1.5時間 × 12か月 × 時間単価)+(月間ミス件数 × 25% × 1件あたり損害額 × 規模係数 × 12か月)
ミスのうち実際に支払いが生じるのは4件に1件と想定。削減率90%。
探し物
1日の検索時間 × (事務担当 + 現場人員の30%) × 22日 × 12か月 × 時間単価
検索性を上げても探す行為自体はなくならないため、削減率は40%に留めています。
金額を大きく見せないための3つの制限
- 1. 総額に上限を設けています。各項目を単純に足すと作業の重なりを二重に数えてしまうため、 年間総人件費の10%を超える削減額は主張しません。
- 2. 初年度から満額の効果は見込みません。1年目35%・2年目70%・3年目100%という定着カーブで回収年数を計算しています。
- 3. 投資額に人の手間を含めています。ソフトの利用料だけでなく、データ移行・業務の作り直し・社内教育の費用を初期費用に含めます。 ここを外すと、回収年数が実態よりずっと短く出ます。
投資回収とROI
回収時点は、初期費用を先に支払い、毎月「その年の定着率 × 年間削減額 ÷ 12 − 月額費用」を 積み上げていき、累計がプラスに転じる月としています。 投資対効果(ROI)は3年間の累計で(3年間の削減額の合計 − 3年間の投資額の合計)÷ 3年間の投資額の合計 × 100として算出します。一般に、回収が3年以内に収まるかどうかが投資判断の目安とされます。
この診断の限界
選択肢から推定した概算であり、実測ではありません。実際の効果は、 現場が新しいやり方を受け入れるかどうかで大きく変わります。 本気で投資を判断する段階では、対象業務の実作業時間を2週間ほど実測し、 個別の見積りと突き合わせてください。この診断は、その入口に立つための道具です。